妊娠中のシートベルト着用について
妊娠中のシートベルト着用は必要だと思いますか?答えはYESと考える方が多いと思います。それでは、妊娠中の正しいシートベルト装着方法は知っていますか?この質問にYESといえる方は意外と少ないようです。
交通事故に遭遇する妊婦は年間約2,000~2,500人と言われています。妊婦の交通事故は、お母さんもお腹の赤ちゃんも、ともに重篤な状態になり得ますが、妊娠中の「正しい」シートベルト着用は母児の予後を改善すると言われています。
ただし、日本の法律「道路交通法施行令」では、妊娠中でありシートベルト装着が適当でない場合はシートベルトの装着義務の免除が記されています。2008年に警視庁により「交通の方法に関する教則」で妊婦の装着及び三点式の正しい装着を呼び掛けていますが、義務化はされていません。この影響か、妊娠中はシートベルト着用率が低下すると言われています。そしてその傾向は週数と共に顕著になるとも言われています。
妊娠中のシートベルト装着による赤ちゃんへの心配をするお母さんもいるかもしれませんが、正しく装着すれば問題になることはありません。一方で、シートベルト外傷というものがあり、正しい着用方法でなければシートベルトによる圧迫で大きくなった子宮や胎児が損傷しやすくなります。とにかくお腹のふくらみ(子宮)にまたがらないように気を付けることが大切です。
正しい装着方法を紹介します。
みなさんぜひ、
妊娠中の「正しい」シートベルト着用をこころがけましょう!
また、非妊時からシートベルト着用を心がけましょう!
*こちらの投稿は三宅優美先生(産婦人科専門医、周産期新生児専門医)からの寄稿になります。
三宅優美先生は妊娠中のシートベルト着用に関する論文を報告されています。(中島も共著です。)
原著:妊娠中のシートベルト着用に関する妊婦の調査~シートベルト着用中の交通事故を経験して~(The importance of improving the awareness of wearing seatbelt in the correct way during pregnancy.-Through the case of intrauterine fetal death because of the traffic accident while wearing seatbelt-)
三宅 優美(小田原市立病院 産婦人科), 丸山 康世, 中島 文香, 小澤 雅代, 横澤 智美, 永田 智子, 平吹 知雄
日本周産期・新生児医学会雑誌(1348-964X)54巻1号 Page82-85(2018.05)